三つの講座背景〜出生図で読む富の縁

2023-8-15 補記を更新しました

本稿は講座「お金の入り口 -出生図で読む富の縁-」の補足記事で、特に「投資」や「経済動向」に興味のある方向けの内容です。
講座では詳細に触れませんが、講座を作る上で背景とする個人的な考え方と予測をまとめました。あくまでも考え方のひとつとしてお読みください。

背景① 自己投資には四つある ➡ 投資に関心がある方向け
背景② 日本は本当に悪くなっているの? ➡ 中長期の未来に関心がある
背景③ お金が無い?モノが高い!?二つのインフレ ➡ 短期の景気動向に関心がある

背景① 自己投資には四つある

投資は「富」に限定されません。
投資目的は、人や価値の置き所によって異なるためです。
本講座では、自身に対する投資と目的を次の様に分類します。

4つの自己投資と投資目的
・肉体的投資:健康と美容の維持促進 例:運動、エステ、睡眠
・精神的投資:精神的健康の維持促進 例:レクリエーション、瞑想
・知的投資 :向学心、知的好奇心の充足 例:書籍、学校、資格
・金銭的投資:資産増加、資産形成(本講座で扱う事柄

この他にも子供や他者への投資もあります。

たとえば20年後も健やかにいたいと願うなら、肉体的な投資は不可欠ですし
知的な向上を望むのであれば、勉強への投資が必要です。
金銭的投資は、あくまでも選択肢のひとつということです。

ハウスの区分で言うなら、自身の肉体・精神・知性は1ハウスが表します。
それが3ハウス(コミュニケーション、伝達)あるいは、9ハウス(高度な学問、精神性)と結びつきます。
健康は1ハウス、疾病を6ハウスで読みます。
金銭は2ハウスが表し、本講座ではロット(パート・オブ・フォーチュン)とそのルーラーも扱います。
自分がどの投資に重きを置くか、それを明らかにしましょう。
たとえば健康を気遣っているのに、いまひとつ調子が悪い。
そんな時は金銭的投資よりも、運動量を増やしたり、良質の栄養を摂ることが大切なはずです。

背景② 日本は本当に悪くなっているの?

自分は20代に一文無しになり、生活基盤を失いかけたことがあります。
でも、選り好みさえしなければ仕事は豊富にあり、路頭に迷うこともありませんでした。
その数年前にメキシコを訪れた際、至るところでホームレスと物乞いの姿を見ました。農村部から都会に出稼ぎに来る、6〜10歳くらいの子供たちの姿も目にしました。色とりどりのプラスティック製の貯金箱を抱えて、物乞いをする彼らの逞しい姿に悲壮感はありませんでした。
それでもやはり、国力、国家の基盤と豊かさは、そこで暮らす人たちにとてつもなく重要なことです。

確かに日本は過去30年で給与は低下し、経済成長については他国の後塵を拝しています。
日本は悪くなっているという意見は支配的で、ある部分では同意見です。
でも、そんな状況にも関わらず未だに経済大国です。都会の夜道を普通に歩けますし、犯罪率は国際的にダントツの低さホームレスの数は減少傾向にあります
昭和時代に紙面を賑わせた政治家の汚職事件は減り、2000年以降は民から官への接待をしにくい仕組みを作り上げました。警察官も総じて真面目ですし、救急車を呼ぶだけで何万円もかかる様な医療費高騰も起きていません。

こうした点は先進国でも珍しく、これが不景気やデフレーションというのなら各国は見習うべきだね、と皮肉交じりに言う外国人もいます。優れた点にも目を向けると別の姿が見えてきます。
成長と変化を犠牲にして安定と安全を手に入れたことに、私たちが気づいていないだけなのかも知れません。
たとえば、半世紀ほど生きて「日本は素晴らしい、日本にいる私たちは幸せ」という言葉を聞いたことがありません。代わりに「いよいよ悪くなる」「どうにかしないといけない」という悲観論は昔からありました。

悲観論は謙虚さや心配性から来ているのでしょうか。
それとも「どうせうまくいかない」と言い訳にしているのでしょうか。
あるいは、批判的意見は時に頭が良さそうに見えるからでしょうか。

いずれにせよ「日本はダメだ」という意見は、少し割り引いて考える様にしています。

背景③ お金が無い?モノが高い!?二つのインフレ

今年の春分図は肯定的な経済状況を描いています。
一方、占星術に頼らない個人的な見立てとして、政府が対策を打たない限りは、再びデフレ化する懸念を年初のメルマガや記事に書いてきました。

2023年の日本経済について個人的には悲観的です。政府が何も対策を打たなければ、再びデフレへ向かう可能性を疑っています。
一方で、春分図が示す日本経済はバラ色です。2ハウスは牡牛座、ルーラーは金星です。アセンダントとアスペクトしないことは短所ですが、金星は2ハウスにありドミサイル(最も良い状態)であり、エッセンシャル・ディグニティも非常に高く、さらにノース・ノード(ドラゴンヘッド)とコンジャンクトし(強化)、凶星からの障害も受けていません。
また、富を表す幸運のロット(PoF)は1ハウスで華を添えています。申し分ありません。占星術だけを見て、経済政策、原材料高騰によるインフレを考慮しないのであれば間違いなく「日本経済にとって最高の1年」でしょう。(引用元

これは背景②の「悲観論」ではなく理論的な帰結です。そして外れて欲しい予測です。

まずインフレには二種類あります。
現在は、コストプッシュ型(原材料費高騰による)インフレ[1]が続いています。
デフレ化はせず、春分図が示す「経済的な恵み」は実現しつつあるのでしょうか。
事実を見れば、税収と対外純資産は過去最高です。
日本の株式市場で、金額ベースで70%を動かしている外国人投資家の評価は高く、それは日経平均株価上昇という形で現れています。
春先の発表では、500人以上を雇用する大企業240数社は、賃金引き上げ傾向にあります。これらは良いニュースです。
一方で、物価が高騰し、給与が上がらない状況を懸念する声が挙がり始めています。
日本国内で95%の雇用者を擁する中小零細企業に目を向ければ、一部業界を除いて賃金上昇はしていません。

宿泊・飲食業で大幅賃金上昇だが、政策誤ればスタグフレーションに陥る[2023年7月6日]
日本の物価伸び率、米国を8年ぶり逆転 賃金上昇は鈍く[2023年7月21日]

零細企業経営の経験から言えば、サービス業において賃金を上げる条件はとてもシンプルで、利益を増やすことでのみ達成されます。
そして利益を増やす方法は二つあります。
売上を上げること、経費を削減することです。
会社は売上を増やしても賃金を上げられるとは限りません。
重要なことは、売上から原価経費を引いた後に生まれる利益です。
原材料費が高騰している現在、経費削減は難しくなりました。
これは大企業にとっても厳しいところですが、彼らは下請け会社に対して値下げを要求することが出来ます。下請け企業は、条件が多少厳しくても将来取引のために値下げ要求に応えます。
そうした下請け企業は仕事が途切れません。でも従業員の賃金を上げることも出来ません。

まさに大手企業の下請けをやっていた時、そうした局面に遭遇しました。
大企業が値下げを要求をする時は景気が厳しい時ですから、下請けにも辛い時期です。
背に腹はかえられませんが、本心では値下げなどしたくありません。
一度下げた価格を元に戻すのは、下げる時よりも難しいからです。(これは大企業も同じで、値段据え置きで内容量を減らす「ステルス値上げ」をやります)

現在、物価は上昇していますが、日本全体でモノやサービスの売れ行きが良くなった結果に起きたインフレではありません。ですから、直ちには中小企業の賃金引き上げにつながらないのです。

ガソリン価格に至っては200円/Lを超える勢いです。
にも関わらず「160円/Lが3ヶ月以上続いたらガソリン税を減らす」トリガー条項は凍結されたままです。
また、政府は将来の増税を仄めかしています。増税メッセージは人を節約へと駆り立てます。
さらに、もし金利が上がれば一般のローン購入、企業の設備投資は減ります。

自分は、中長期的に見る日本の未来に悲観していません。
ただ現状では、できるだけ早くデマンドプル型インフレ[2]に移行することを期待しています。
でも、政府がさらなる手を打たず、また中小企業の賃金が上昇しないのであれば、デフレへの逆戻りの可能性はあると現時点(7月31日)では考えています。
理由はとても単純です。物価が上昇しても給与が変わらないのであれば、購入を控えるしかありません。それが続けば企業側も容量やサービスを減らすなどの対応を迫られます。[3]
これを打ち消す条件は「高騰する燃料費への対策」「増税メッセージ停止」「財政出動」そして「中小企業の賃金上昇が遅くとも2024年春先から始まる」ことです。

2023年春分図予測の答え合わせは来年3月にやりましょう。ただ、改善策が打たれなければ、デフレやスタグフレーション(給与は変わらず物価が上昇して起きる不景気)の懸念も払拭できません。


こうした前提と、コロナ禍で加速した副業や兼業の考え方、ギャンブル的に見られていた投資観の変化を踏まえ、日本で生きる上で改めて富との関係性を考える機会にしたいと考えています。

講座要項

日時:8月31日(木)20:00 – 21:30
費用:6,000円(通常)
   3,500円(金融占星術対談視聴者限定価格 対談最後の割引コードをご利用ください)
形式:オンライン(zoom)+アーカイブ(視聴期間14日)
申込:7月29日(土)〜8月29日(火)23:59
主催:Charapla Inc.

概要

・自分の富の星の特定
・自分と富との関係性、発展性、注意点
・2ハウスと8ハウス
・自分にとって手堅い投資スタイル
・未来予測と気をつける点

補記

[2023-8-15]
賃金上昇率についてあまりよくないニュースが出ています。短期であっても再デフレ化は望みません。せめてガソリン代の減税(特にトリガー条項の凍結解除)を期待しています。
一方で身の回りでは良い兆しがありました。値上げがつづく近隣スーパーの手作り食パンが売り切れているのです(文末参照)。生産量を減らした可能性はありますが、20時台の売れ残りは2週続けてゼロです。

[2023-8-15]
会社経営をされていた方から、値下げをした時期について質問を頂きました。

大手から値下げ要求があったのは2008年のリーマンショック後です。自分の会社は広告やウェブのデザイン、マーケティングを主軸にしていました。不景気が訪れると真っ先に削られる職種です。2010年にかけて売上と利益は4割近く減り、給与が支払えないという理由で社員には辞めてもらいました。会社を立ち上げて10年、人と運に助けられ増収を続けていたので初めて体験する闇です。
でもその頃、米国経済は日本よりも早く回復していました。誰もが少し先に光明を感じていた矢先、二度目の闇、大震災が東日本を襲いました。結果、値下げをした時期は2009〜2013年の四年間です。価格を元に戻すには、新たな商品やビジネスモデルで単価を設定し直す必要があることを学びました。


1.コストプッシュ型インフレ
製品を作る費用が増加し、そのコストを賄うために物価が上昇する悪性インフレ
2.デマンドプル型インフレ
経済全体が活性化し、需要が増大。品物不足から物価上昇という経路をたどる良性インフレ
3.価格の定点観測
今年の2月から近隣スーパーにて午後8時台の食パン(現地生産)価格と売れ行き観測をしています。
価格推移:158円(2月)➡178円(4月)➡188円(7月)
売り場は値上げを推進していますが、今月中旬から売れ残りが増えてきました。売れ残りが目に余るようであれば、値下げか容量を減らす施策に踏み切るかも知れません。

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